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彼女の生まれは、世界中のどんな地図にも載っていない小さな小さな村。国はまた、世界中で最も小さなそれである。
彼女は生まれ、そして村は死んだ。
彼女は育ち、そして国は滅んだ。
彼女は生き続け、そして歴史は幾度も巡った。

彼女は独りきりで、母と父から継いだ「業」を解くために、ただ生きている。

「あんたって、誕生日いつなの?」
「なに、突然。」
友人からの突然の質問。彼女は僅かにきくりと肩を揺らした後、あたりさわりなく笑って返した。しかし友人は笑わなかった。むしろ、彼女を咎めるように…彼女の全てを見透かしているように、彼女の瞳をしんと見つめてきた。
「思ったの。あたし、あんたの誕生日はおろか…あんたの家族のこと、好きな食べ物や色…出身や趣味すら…何もかも知らないって。分かってるのはあんたの名前だけ。」
「………。」
「……おかしいとは思わない?あたし、あんたと知り合ってから、今日でもう4年になるんだよ。」

4年…。

彼女は曖昧に微笑んで、友人から目を逸らした。
「そうかな、おかしいかな?あたしは別におかしいとは…。」
「おかしいとか、そういうんじゃない!!知りたいんだよ!知りたいと思って、何が悪い?教えてはもらえないのか?なぁ、どうしていつもはぐらかすんだ?…あたしには、言えないのか?」
「…言えないってことは、ないけど…。」
「じゃあ、教えてよ!あんたの誕生日はいつ?あんたはどこで生まれたの?どうやって育ってきたの?……―あたしは、このまま、あんたの友達でいてもいいのか?」

(トモダチだと思ってたのに…。)

彼女は考えた。
彼女がこのまま友人の想いに応えなければ、続く言葉はソレひとつだと。
過去、幾度となく聞いてきた言葉。何度聞いてもいつまで経っても慣れることのない言葉。罵倒も嘲りも、ソレの重さには敵わない。
裏切ったつもりはない。そんなことはしたくない。けれど、生きていくためには…人と付き合って、関わりあって生きていくためには、真実を言うわけにはいかなかった。自分が普通でないことは嫌というほど知っている。普通の人間として生きていくにはとてつもないほどの弊害があるのだと、よく分かっている。

「…ごめん…。」
「何が…ごめんなの?」
「…トモダチでいてくれて、ありがとう。でももう、これで終わりにしよう。あたしは、明日ここを離れようと思う。」

黙っていなくなればいいのに、こうして口に出してしまっている。
彼女は思う。あたしは馬鹿だ。…どうして自分はこうも我儘なのだろう…。止められちゃ困るのに、止めて欲しいと思うだなんて。
真実を話したいと思う反面…拒絶されることを恐れる反面…それでも、もしかしたら受け入れてもらえるのではないかと思ってしまう。
それは、とてもいけないこと。

ありえないこと。

「あたしはずっと昔、小さな村で生まれた。もう、世界中のどんな地図にも載っていない、本当に小さな国の、小さな村で。…その村はもうない。滅んで、国もまた滅亡した。あれから長いこと、あたしは自分の正体も分からずに、生き続けている。…あたしは人間じゃない。人間じゃないんだ。分かるのはそれだけ。だから、もう一緒にはいられない。これ以上一緒にいたら、あたしはあんたを殺してしまうかもしれない。」
「………なんで?」
「取り残されるのが好きじゃないんだ。……あたしはね、あんまり長く誰かと一緒にいると、その人間がいつかは自分をおいていくんだということばかりを考えるようになるんだ。どうしようもないんだ。止められない。……それで、いずれ来る別れなら…それが避けられないものであるのなら、あたしが直接手を下したいと思ってしまう。あたしは、狂ってるんだ。」

どんなに切望しても、手に入らないものがある。
友情の美しさだって、生きることの素晴らしさだって、太陽の輝きも、砂糖菓子のとろけるような甘さも、人の笑顔の鮮やかさも、長い冬を越えて春を迎えたときの喜びも、大切な人を守りたいと想う強さも、どんなことだって、彼女は全てを知っている。

けれど、死を知らない。
彼女にとって、それはただ甘美な響きでしかない。
死を恐れる者の心を知らない。死を退けたいと願う者の気持ちが分からない。死を願ってやまない彼女にとって、それらは理解しがたい人種でしかない。

手の平で目元を覆って、彼女は笑った。
涙はもう枯れ果てた。
あとはもう、今すぐここを立ち去るだけ。

―…彼女はいつも夢に見る。
今はなき古里を。
川のせせらぎに耳を澄ませ、暖かな日差しの下でまどろんでいる夢を。
暗っ…暗いよ、こりゃあ(o△o;三;o△o)ぁゎゎゎ!!
はじめに午睡と聞いて、あったかくて優しい話が書けたらいいなと思ったんですけどね…。午睡って、昼寝の意味でしょう?ですからね、自分としては午後の日差しを燦々と浴びて窓辺で惰眠を貪る双子の兄弟なんてものを題材にしようと…しようと…思って、いたのにorz

いつの間にやら路線変更。更には登場人物ですら面影を失い、当初描きたいと思っていたぽかぽか陽気的お話は見る影もなくなってしまったのです…。
創作って恐ろしい…(ガクブル/恐ろしいのはお前の脳みそだ)

…………ま、いいっす★(強制的に切り替え)物書きたるもの、気を強く持たねばならんですよね?折角生み出した登場人物ですしね、勿論可愛いとは思っていますとも。ええ。時にはそんなこともあっていいのです(いつもだろ)

人って、本当に受け入れがたい現実離れした現実に直面した時、どんな反応をすると思います?
…第三者の冷静な目から見れば、それはとても、面白いのでしょうね。面白い、なんて不謹慎な言い方はよくないのかも知れないですけれど、でもやはり面白いものだと思うのです。
人は、他人には冷たくなれるものです。
人は、他人には無責任になれるものです。
それは自分自身にも言えることで、いつもそんな風にはならないようにと、どこかで思ってます。ま、思っていたところで、それが実行できているかは謎なのですが(笑)

て、何故か暗い話になってしまったー…ッ(ノ□<;)(額をべしりと叩き)なんだか最近、自分が理屈っぽくて大層困っています。
どうしてだろう…つい先日漫画読んで「萌えだーっ!」とか言いながらじたばた暴れたばかりなのに(それとこれとは関係ない)

腐れ女子、今尚健在(こんな締めはやめんかい)

今回のお題BGMは「OLD WOODS HUT」さんからお借りした「雨」という曲でした。…毎度思うけど、こんな場所でBGM紹介しても、既に読み終わってくれている人にはまったく意味が無いんじゃ……などと思う自分でした(ぁぁぁ)
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