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『…よく、考えてみることだ。お前に、俺の声が届かなくなったのはいつの日が最初か。いつを境に、お前は何にも分からなくなったのか。……どうしたら、お前はお前を思い出す?』

「ちいさいあき…ちいさいあき…ちぃさいあきぃ…みぃつけたぁ…めかくしおにさん…てのなるほうへー…よんでる、くちぶえ…もずのこえぇー…。」

少し調子っぱずれな歌声が、人気のない通りを横切っていく。
歌声の発生源である人型は何が楽しいのか、時折ひらりひらりと軽いスキップをしたりしながら通りをいく。
薄暗く、細い道幅。風の通りは至って悪く、どこか生臭さを感じる。おそらく、数日前に降った雨の水が、その水はけの悪さで通りの端で腐ったのだろう。野良猫や野良犬があちこちに丸まり、その日の飢えをどうにかして紛らわそうと、意味のない縄張り抗争に明け暮れている。

普段から、ここへの人通りは皆無と言っていい。
そんな場所へ、場違いな歌声。抑揚のない音痴な歌は、通りに響くことなく、人型の口の中でだけ小さく繰り返されている。隣に立って歩くか、少しは慣れた場所でよほど耳を澄まさないと聞こえないだろう小さな歌声。

人型は、何だかとても楽しそうに微笑んでいた。
この薄汚れた裏通りで、一人。

「ちぃさいあきー…ちぃさい…あ、き?」

ふと、人型は足を止めた。同時に口も閉じ、しばしその場でゼンマイの切れた人形のように立ち尽くす。しかしそれも束の間、にっこりと笑うとタンッタンッタンッとリズムよく走り出す。

人型の興味を惹いたのは、通りの突き当たりにある線路だ。
……線路の上に、人形が転がっているのを見たのだ。
人型は鼻歌を再開しながらフェンスにがしゃりと飛びつく。

フェンス越しにその人形の顔を覗く人型。覗いて、それから小首をかしげた。それは、人型がどこかで見たことのある顔だったからだ。誰かを思い出す顔だった。何の変哲もない、何処にでも売ってるそれが、何故かとても近しい人に似ていると思った。

フェンスに手をかけ、それをよくよく見る。
無感動に無邪気な瞳で、それを見る。

やがて、人型は顔を上げた。
遥か遠く、耳に列車の汽笛が聞こえたからだ。蒸気を吐き出す音が徐々に近付いてくるのが、微かに振動を伝えるフェンスからも分かった。人型は線路の彼方にその黒い影を確認すると、また人形に目を落とす。

「……ぁーあ、ごしゅうしょーさま。」

くすくすと、無表情に笑いだす人型。
もう考え事にも飽きたのか、くるりと背を向けてまた歩き出す。人型には分かっていた…その人形の末路が。だから、見ないでもいいと思ったのだ。

「まっかだなぁ…まっかだなぁ…つたぁのはっぱも…まっか、だなぁ…もみじのはっぱも…まっかだなー…ふふっくすくすくすっ…。」

線路の上を列車が通り過ぎた。
突如として通りには強い風が吹き込み、背を向けて歩き出していた人型の髪を煽る。人型は振り返らない。ただ笑いながら去っていく。

「しぃ…ずむ、ゆうーひぃにー…てぇらされて…まっか、な…ほっぺたのー…。」
『お前を狂わせたのは…誰だ?何が、お前を変えた?』

通りの遥か上空…。
人型を見下ろすひとつの影。影は唇をかみ締めて拳を握る。その足元を楽しげに歩いている人型は、影に気付かない。影はもう一度問う。

『…俺がお前を救うことは、叶わないのか?』
人型は答えない。影の言葉は耳に入らない。両手を真っ赤な血に染めて、今日も淡々と仕事をこなしてきたあと。

口元だけが弧を描き、無感動に笑う人型。
その人型の頬を、一滴の雨が伝って落ちた。

影は知らない。
んー…久し振りに意味の分からない文章を書いたな…(いつものことさ)
童謡って、何だか不思議な雰囲気を持ってると思う。独自の世界観というか、大人には決して理解できない単純に純粋な世界。でもその単純さと単調さの中にも何かしらの「意味」を孕んでいて…子供はそれをわりと容易く受け入れられると思う…。…子供はすげー(何だよ)

そうそう、童謡には結構恐いものが多い。
「しゃぼん玉」とか本当に恐い。あれは、しゃぼん玉を出兵した兵士になぞらえて作った、戦争の歌だそうだ。…はじけて消えるくだりがかなり恐い。昇って、壊れて消えた…つまりは死んじゃったということなんでしょうが…恐い。
あんなに壊れやすくて、綺麗なものを人間に例えるだなんて…あの歌の歌詞を書いた人はどういう人なんだろう…。

はないちもんめ(漢字だと花一匁?)も恐い…ああやって一人ずつ取られていって、最後はひとりぼっちだ。かごめかごめも、恐い。目を閉じてしゃがみ込む子の周りを、手を繋いだ友達がぐるぐる周る…。何かの儀式のようで、昔から嫌いな遊びだった。
通りゃんせも苦手だし照る照る坊主の歌(題名不明)も苦手。…通りゃんせって、あれは何のための歌なんだろう。照る照る坊主なんか…次の日天気にならなきゃ首を切られて死んでしまうんだぞ?…こ、こわい(がくがく)
…ああいうのを元気よく、楽しく歌っている無邪気な子供を見ると何だか寒くなってくる。何だか恐いと思う。

さて、ここで友人から聞いた有名らしい話。
「いろは歌」の詠い方…というか、切り方を変えるとこうなるらしい。

いろはにほへと
ちりぬるをわか
よたれそつねな
らんういのおく
やまけふこえて
あさきゆめみし
えいもせす

語尾を読み上げると『とかなくてしす』。
『咎無くて死す』となるそうだ。…はじめて聞いた時、正直恐いよりも切ないと思った。
無実の罪で殺されてしまったお坊さんが、処刑の前にいろは歌をこう詠んだそうだ。子供たちに好かれる優しいお坊さんが、最期にこう詠った無念は本当に悲しい。

童謡は油断できない。本当に
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