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竜として生まれた。
風を操り、天高く駆け、地上を見下ろし、自由に生きてきた。
日々平穏で、何も自分たちを縛るものは無く、また、そんなものがこの世に存在するとも思わなかった。
…そんな存在を、少なくとも自分は知らなかった。

人は勝手な妄想を竜の一族に押し付けていた。
一方では竜を神の申し子であるとして、崇め奉った。
一方では竜を神の忌み子であるとして、恐れ戦いた。
けれど、それさえ自分たちには与り知らぬ遠い世界の出来事だと思っていた。
…そう、自分たち竜には、どうでもよいことだった。

まだ幼な子であった頃…まだ、満足に風を操ることが出来なかった頃、自分は着地に失敗して傷を負った。治癒能力も充分に発達していなかった自分は、身動きさえままならない状態に陥った。

はじめて、死を感じた。そんな自分を助けてくれたのは人の子だった。
…それはとても冷たく、寂しいものだった。
…それはとても暖かく、満ち足りたものだった。

それから更に数年後、その子の村は滅びた。
自分たち竜の一族が滅ぼした。
それは小さな勘違いから起きた、許されない過ちだった。

あの子の村は竜を崇めていた。
隣村は、竜を恐れていた。
そして、あの子の村を心底毛嫌いしていた。
だから、隣村は考えた。その子の村を跡形も無くに灰燼にかえる方法を。

隣村はあの子の村の人に成りすまして、竜を殺した。
沢山死んだ。沢山殺された。自分も死に掛けた。
痛くて痛くて哀しくて哀しくて恐くて恐くて…肌に食い込む刃が冷たかった。
治癒能力が追いつかず、自分は片目を失った。
哀しかった。あの子を思うと涙が零れた。

竜はあの子の村を滅ぼした。
隣村も滅ぼした。

瓦礫の中、自分はあの子を見つけた。
何年経っても見間違えない。
まだ、生きていた。
守りたいと思った。けれど、この子は村を滅ぼした竜を憎んでいる。だから、恐くて手が伸ばせなかった。馬鹿だと思った。

それから更に数年後。
彼女は大きな街で働いている。住み込みで、海の男に料理を作っている。
彼女はいつも、高い襟で首を隠している。竜がつけた傷跡だ。

自分は人になった。

けれど魔法は不完全。獣が完全な人になることは不可能なのだと、自分を人にしてくれた人が言った。
正体を知られてはいけない。知られたら、拒絶されるだろう。憎まれるだろう、殺されるかもしれない…。殺されるのはいいとしても、蔑まれるのは哀しいと思う。けれど、それも受け入れられたらと思う。
けれど、傍にいて見守ることだけは許して欲しいと思う。

自分は彼女を守りたいと思う。だから、人になった。
片目の男。
初対面はどうしよう?
眼帯、恐がられないだろうか?

「…アンタ、何やってんの。」
最初に投げかけられたのは、あきれ返ったようなそれ。
当然だ。俺は木から落ちた。
木の上でぼんやりと街を見ていたら、突然話しかけられて、次の瞬間には地面に激突。…なんて無様。

それでも、自分は笑顔で返してみた。
彼女はもまた、笑った。
…それはとても暖かく、満ち足りたものだった。
10の大台に乗って最初の話。
…10番台は、どのお題もまさに混沌。暗いモノを連想させるお題ばかりだ。逆に20番台は明るいモノばかり…。

一筋縄で括られたくないと思う。
暗きモノから明るきモノを書ければ…明るきモノから暗きモノを書ければ…そうしたら、何でも書ける気がする。
そう思ったので。
まずはこの「混沌」から明るいモノを生み出せたらいいなぁ…と考えつつ。

人には誰でも人に言えない秘密があって。
…いや、無い人もいるかもしれないけれど(どっちだよ)

本当に苦しくて辛い時は、どんな慰めの言葉も意味を成さないと思う。悪化すればするほど、周囲に目を配ることが出来なくなる。自分こそがその時点で一番可哀相…一番不幸だと思い込んでしまう。そんな自分に酔えば、更に悪循環。
たとえば背後に救いの手が差し伸べられていたとしても気付かない。気付けない。…そんなものが差し伸べられているとは思いもつかないから。そういうものだから。
たとえば混沌とはそういうものだと思うから。

そんなわけで、混沌。
光を言葉にするのはとても難しいけれど…まぁ、頑張ってみたつもり。
暖かくなくても、穏やかでなくとも、優しくなくても、光は光だと思う。そういうものを書きたかった。

んー…意味不明な語りだ(お前が悪い)
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仕事が溜まってるので簡潔に!!
素敵です。椿サンの最高傑作の一つだと思います。
色々と忙しいようですが、HP更新等頑張って下さい♪

…二重投稿スミマセンorz
そして再投稿中に背景その他が…(笑)

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