上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
水晶を割ることにした。

この、天を貫くほどに高い塔の上から落とすことにした。
俺は、代々家紋と共に引き継がれてきたこの水晶を、割る。
そうすることで、永きに渡って行われてきた国の内戦が収まれば、満足だ。
なんて馬鹿らしいことだろう。
たかだかこれっぽっちの小さな水晶を求めて、幾億もの血が流されただなんて。なんて、あまりにも愚かで野蛮なことだろう。

国を救うだとか、そんな高尚なことがしたいのじゃない。
俺は、もうウンザリしたんだ。
水晶が割れたことにも気付かず、いつまでも馬鹿をやっていればいい。

あぁ、なんて甘美だろう。
下から俺を目指して登ってくる、数多の兵士たち。
奴らがここに辿り着いて、俺を拷問にかけ、そうして部屋中、体中を粗捜ししても、何にも出てこないんだ。
その時の、醜く歪んだ悲痛の表情は、どれほど甘美だろう。

あぁ、でも俺はその悦びを実感できない。
だって、死ぬのだから。

でも、満足だ。

さぁ、およそ救いようの無い愚かな者達よ、既にこの手にない水晶を求めて、血眼になってこの塔を登ってくるがいい。
俺はお茶でもしながら待っていよう。
お前たちがここへ来る頃、俺は既に旅立っている。
これが最後のお茶会だ。

雲の波間に最期の輝きを発して消えていった水晶。
陽光を享け、見る影もなく落ちていった水晶。
あれは邪悪な水晶だった。
もう、この手にはない。俺は解放された。

幾億ものフザケタ願いを叶えてやってきた。
言われるままに国を滅ぼし、村を焼き、飢饉を起こし、洪水を起こし、季節を封じ込め、蟲の群れを発生させ、河川を潰し、山も崩した。
これ以上ない働きをしてやった。

それももう終わりだ。
このカップが卓に置かれると同時に俺は漆黒の暖かな闇に包まれる。
死という最大の祝福を享け、二度と再び目覚めない。

反魂の術を使える術師は、もうこの世界には数少ない。
それに、俺はその術に対抗出来るよう、己に術を施してある。
死してなお、俺はあらゆる術を弾き返してみせる。

カップを置く音が耳に入る。
同時、開かれる俺の部屋の扉。
俺は笑って出迎える。
それはもう、極上の微笑で奴らに微笑みかける。

「…やぁ、驚いたな。予想以上に早いじゃないか。…いらっしゃい、お客人。」

俺が絶命するよりも先に訪れた、土足でこの塔に上がりこんできた野蛮人ども。
俺は、無礼な馬鹿どもに礼儀を教えてやろうと、静かに腰を折った。

そして俺は闇に落ちる。
ぷつんと、命が弾けて切れる。
そういえば、前回の#5の追記、書かなかったなぁ…とかどうでもいいことを言ってみる。
(本当にどうでもいいことだな…)

この話は、物凄く突発的なもの。
何にも考えずに書いたせいで、世界観も人物像も何もかもが中途半端な終わり方をしている。
なのに、上げてしまったのは…なんだ……少し気に入っているせいなのかもしれない(何だとッ)

本当は、「彼」をもっと知的で落ち着きのある人物として書き上げたかった。でも、気が付いたら、とても捻くれているヤサグレた人物に仕上がってしまった(めそ)
いや、孤独な人物、という点だけは書き始め、軌道に乗ってきた頃から彼のイメージとして持っていたので、まぁいい具合に書けたとは、自己満足で思っているのだけれど。

で、悩んだのが最期(最後…とすべきか?)の一文。
彼が事切れる瞬間の音は、何度も書き直した。
……どうでもいい所に拘るなぁ…とか思われそうだが、でも、自分にとってはわりと大切な擬音だった。
で、候補として上がり、何度も書き直したのは以下の擬音。
「ぶつん」
「ぷちん」
「ぷつん」
「ことん」
「かたん」
……悩みに悩んで3つ目の擬音を採用してみた。

人が死ぬ瞬間の音って、とっても難しいと思う。
どれだけ激しく苦しんでいても、どれだけ壮絶な痛みを伴っても…死ぬ時の音って、共通して同じものだと自分は思う。
あはははー実際、人は死ぬ時にそんな妙な音は立てませんけどね?
(誰に向かって言っている)

人が死ぬ時の音って、どんなんでしょう?(だから、誰に聞いている)

こういうことばっかり言っていると、変な人だと思われるかな。
……いや、否定はしないけど(ぁ)
スポンサーサイト

Comment

Post Comment

管理者にだけ表示を許可する

Trackback

Trackback URL
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。